糖尿病はがん(癌)のリスクを高める
糖尿病の合併症といえば、3大合併症が有名です。
網膜症、腎症、末梢神経障害の3つですが、これらは、微小な血管がダメージを受けることが原因です。進行すると、それぞれ、失明、腎不全→透析、しびれや足の壊死などにつながってしまうことがあります。
また、大きな血管もダメージを受けますので、動脈硬化から、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などのリスクも高まります。
しかし、糖尿病でがんも増えることは、意外と知らない方もいらっしゃいます。
糖尿病の患者さんで注意しないといけない代表が、肝臓がん、大腸がん、膵臓がんです。
肝臓がん、膵臓がんはそれぞれ2倍程度、大腸がんは1.5倍程度リスクが高まると言われています。
なぜ、糖尿病でがんが増えるのか、はっきりとはわかっていませんが、
高血糖、高インスリン血症、慢性炎症が影響していると推測されています。
がんを起こさないため大事なのが、食生活、適正体重、節酒、運動、禁煙などです。
当たり前のことじゃないかと思われるかもしれませんが、これらは自分でコントロールができる重要な要素です。
また、糖尿病をすでに治療されている方は、必ず通院を継続ください。
症状がないからといって、自己判断で治療、通院をやめてしまい、手遅れになってから病院を訪れる方がしばしばいます。
通院されている方は、定期的に腹部エコーなどの検査があると思います。
主治医が忘れている場合もありますので、1年以上腹部エコーをしていない場合などは自分から主治医に提案してみてください。
肝臓がん、大腸がんは早期に見つければ、負担の少ない治療で完治できることが少なくありません。
糖尿病治療中の方、また治療はしていないけど検診で糖尿病や糖尿病予備軍と言われたことのある方は、ぜひ定期的な腹部エコー、大腸カメラを受けることをお勧めします。
参考資料:
Diabetes and Cancer A consensus report (Diabetes Care 2010; 33: 1674-1685.)
Diabetes and cancer--an AACE/ACE consensus statement. (Endocr Pract 2013; 19: 675-93.)