(読書日記)スタンフォード式 最高の睡眠
著者は、世界トップの睡眠研究を誇るスタンフォード大学教授で、同大学の睡眠生体リズム研究所の所長を務める方です。
現在の日本社会で、毎日7~8時間の質の高い睡眠が確保できる方というのは多くないのが現状かと思われます。
そんな中で少しでも質の高い睡眠を確保するために役立つヒントがありました。
最高の睡眠のためのキーワードは「眠りはじめの90分」
眠りはじめの90分は、睡眠のゴールデンタイムで、自律神経の調整、成長ホルモンなどの分泌が行われ、心身のコンディジョンが整うための重要な時間。
とにかくこの90分をぐっすり眠ることが大事とのこと。
睡眠は、仕事を含めた日中のパフォーマンスだけでなく、健康状態も大きく左右する重要な営みであり、時間としても人生の約1/3を占めるものです。
・満足な睡眠が得られていない
・日中のパフォーマンスを向上させたい
そんな方にとって参考になる1冊だと思います。
目次
0章 「よく寝る」だけでパフォーマンスは上がらない
1章 なぜ人は「人生の3分の1」も眠るのか
2章 夜に秘められた「黄金の90分」の法則
3章 スタンフォード式 最高の睡眠法
4章 超究極! 熟眠をもたらすスタンフォード覚醒戦略
5章 「眠気」を制する者が人生を制す
印象に残ったポイントです
・睡眠は量より質
・睡眠の質は、眠りはじめの90分で決まる
・最初の90分の睡眠でつまずくと、どれだけ長く寝ても自律神経は乱れ、日中の活動を支えるホルモンの分泌にも狂いが生じる
(経験として納得。病院の当直で、深夜に業務が落ち着いたところでベッドに入ったものの、寝始めたところでまた起こされることがよくありますが、その後はもはや眠れず、次の日の調子も最悪です。)
・夜勤明けの医師は頭が働いていない(Sleep 2005;28: 1386-1391 こんなことにも科学的なエビデンスが)
・ショートスリーパー(短時間睡眠で平気な人)は時々いるが、それは遺伝で決まる(Science 2009; 325: 866-870)
眠らないことによる身体的悪影響
・インスリン分泌が悪くなり、血糖値の上昇、糖尿病のリスクが上がる
・食べ過ぎを抑制するホルモン「レプチン」の分泌が悪くなり、太る
・食欲亢進ホルモン「グレリン」の分泌が増え、太る
・交感神経の緊張が続き、高血圧になる
・精神不安定になり、うつ病、不安障害、アルコール依存、薬物依存のリスクが高まる
・1日1時間以上の昼寝は、認知症、糖尿病のリスクを高める
・週末の寝だめでは寝不足による睡眠負債は解消できない
・眠りはじめの90分に成長ホルモン、プロラクチンがもっとも多く分泌される→アンチエイジングにもつながる
睡眠の5つのミッション
①脳と体に休息を与える
②記憶を整理して定着させる
③ホルモンバランスを調整する
④免疫力を上げて病期を遠ざける
⑤脳の老廃物をとる
・最初の眠気のタイミングを逃さない。眠くなったらとにかく寝てしまわないと、その後深い眠りは訪れず、いくら長く寝てもいい睡眠にはならない。
どうしても睡眠時間が確保できないとき
→眠気があればまず寝てしまい、黄金の90分が終了したときに起きる
「体温」と「脳」に眠りスイッチがある
体温(深部体温)の低下が睡眠には欠かせない
・皮膚温度と深部体温の差が縮まったときに入眠しやすい(Nature 1999; 401: 36-7)
・入浴は就寝90分前を目安に
脳の興奮を抑え、スイッチを切る
・寝る前は頭を使わない
・部屋を暗くする
・パソコン・スマホは見ない
・寝る前の運動・食事を避ける
質のよい睡眠のためには、「どう起きているか」が重要
・朝は光を浴びる、冷水で手や顔を洗う、朝食は食べる
・夕食も食べる(食べないとオレキシン分泌が促進され、食欲増大、覚醒して眠れなくなる)