梅毒流行に注意!2018年報告数はすでに6376件と2000年以降断トツの多さ
ここ数年の梅毒患者数の急激な増加を受けて、人気医療マンガ「コウノドリ」の梅毒に関連したエピソード4話が無料で公開されています(12月14日~12月20日)。
読んでみましたが、梅毒の臨床像(症状、感染経路)、その問題点がうまく表現されておりわかりやすく理解できます。
(https://comic-days.com/blog/entry/kounodori_baidoku)
下に示すのは、2010年~2017年までの日本における梅毒の報告件数ですが、特に2013年以降急激に増加していることがわかります。
2018年ですが、1/1~12/2までの間ですでに6376件と、2017年を更に上回っています。
梅毒の発生動向の調査及び分析の強化について(厚生労働省)
「コウノドリ」でも示されていた梅毒の問題点とは?
・最初は発熱や痛みなどが目立たない→病院受診せず、放置されることがある
・感染力が強い→パートナーへ容易に感染する
・オーラルセックスでも感染する→コンドームをすれば安心ではない
・妊婦における感染→先天梅毒という障害を持った赤ちゃんが生まれる可能性
先天梅毒は、報告数こそは少ないですが(日本で年間数例~十数例程度)、死産、新生児死亡、重篤な障害となる可能性があり、非常に問題となります。
また、最近は性風俗での感染が多いことが推測されており、コウノドリのエピソードにもあったような、「風俗で梅毒をもらった男性が妻にうつす」といったことは、実際にも起こっていると思われます。健康面だけの問題ではなく、離婚、家庭崩壊のリスクにもなります。
感染しても抗生剤を飲めばいいんじゃない? と思われる方もいらっしゃるかもしれません。たしかに、早期に治療すれば予後は悪くない感染症ですが、ときに大変な事態となることがあります。
例えば、2018/11の感染症学会において、梅毒により陰茎に大きな潰瘍ができ、形成外科的な手術が必要になった症例が紹介されていました。
当たり前のことですが、重要なのは、
・まず感染予防(リスクのある性行為を避ける)
・梅毒感染に思い当たることがある場合、早期受診による早期診断、適切な抗菌薬治療
早期診断のため、次のような事柄に該当する方は、梅毒検査を検討してください。
・思い当たる行為がある(風俗利用、不特定多数との性行為、男性同性愛)
・他の性感染症と診断された
・陰部に潰瘍ができた
・足の付根(鼠径部)にしこりが触れる
・全身、特に手の平に発疹ができている
(参考資料)
梅毒に関するQ&A|厚生労働省
梅毒とは 国立感染症研究所
(https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ha/syphilis/392-encyclopedia/465-syphilis-info.html)