食物依存性運動誘発アナフィラキシー

 

食物依存性運動誘発アナフィラキシー

(FDEIA:food-dependent exercise-induced anaphylaxis)

 

食物依存性運動誘発アナフィラキシーとは

食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA)という病気をご存じでしょうか?

一般の方は聞きなれない病名かもしれませんが、時々診断されないまま発作を繰り返している方がいらっしゃることから、重要な病気であると考えます。

 

特徴:

FDEIAは、食物アレルギーのうち特殊なタイプで、特定の食べ物を摂取し、その後体を動かすことにより、じんましん、呼吸困難発作、血圧低下などが起こる疾患です。

 

学童~20歳前後の若い成人に多く発症します。

原因食物は、小麦が62%と最多、エビ、カニなどの甲殻類が28%、その他、そば、魚、オレンジなどのフルーツ、とうもろこし、牛乳、鶏肉、にんじんなど様々な食べ物により起こります。

上の通り、小麦、甲殻類が約9割です。

 

FDEIAが問題となるのは、アナフィラキシーという激しいアレルギー反応を起こすことがあり、血圧低下(ショック)、呼吸困難、じんましん、嘔気・嘔吐、下痢など多彩な症状を起こして、ひどい場合は死に至る可能性もあるからです。

 

また、発作の誘引となる「運動」については、激しい運動だけでなく、歩行が原因となることもあります(17%)。

私が経験した患者さんも、麺類を食べた後、早歩きで家に帰ったところでじんましん、呼吸困難の発作が起きていました。

 

 

診断:

FDEIが疑われる場合、正確な診断や今後の治療方針の確定のため、アレルギー専門医の医師による評価が望ましいと思われます。

診断法として、食物経口負荷試験が最も確実な方法ですが、どこでもできる検査ではなく、アレルギー専門医の元で行われます。

 

 

治療、対処法:

・運動前には原因食物を摂取しない

・原因食物を摂取後、最低2時間は運動を避ける

・抗アレルギー薬の内服薬なども用いられるようです

 

FDEIAは、原因食物の摂取のみ、運動のみでは起こりません。原因食物の摂取+運動がセットになったときに起こるので、上記のような対策で予防することができます。

 

 

「うどんなどの麺類やパンなどを食べて、走ったら全身にじんましんが出た、息が苦しくなった」などの経験はありませんか?

もし、思い当たることがあれば、一度医師へご相談ください。

 

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 (食物アレルギーの分類)

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参考文献:

日本内科学会雑誌 2016; 105: 1966-1974

日本内科学会雑誌 2013; 102: 724-730